被災地の調査を終えて2
この住宅に住む人の話を聞きました。
「地震が来て直ぐに家に帰りました。
すでに家族は避難していてホッとしたのもつかの間、玄関を入るときに、後ろから津波が追いかけてきたので、慌てて2階に上がったのですが、窓から津波が迫るのを眺め、もう諦めました。」
「1階の柱が軋み、これで全て終わりと思ったのですが、なぜか靴下が濡れただけで、何とか家は倒れず残りました。
九死に一生を得ました。」
この話を聞いてから現地に来ました。
確かに、一軒だけ残っていました。両隣の家は、土台しか残っていないのに。
たぶん、この家の前だけに残っていた防波堤のおかげで、津波の勢いが弱まり、助かったのでしょう。
技術者として言ってはいけない言葉かもしれませんが、「運が良かった」としか言えません。
防波堤という人が作ったものは完全ではありませんでした。しかし、その防波堤で救われた命がありました。完璧な技術はないが、最善をつくすのが技術者としての使命。
いかに「想定外」を想定するかが、これからの大きな課題です。
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