真壁で壁土つくり

kura-ft

2012年05月27日 10:18

茨城県桜川市真壁町は重要伝統的建造物群保存地区に指定された104棟の登録文化財の建物が並ぶまちです。
 










 























昨年の東日本大震災で建物が多数被災し、2棟は倒壊し1棟は解体されてしまい、残った建物も多数被害を受けており改修が進められている





真壁地区は土蔵が多いのですが、土蔵の修理に無くてはならないのが壁土です。
壁土は田んぼの土(荒木田土)と藁を混ぜてつくります。
この壁土を木舞に塗り付けた土壁は30年程前までの日本の住宅で普通に用いられていたのですが、高度成長期以後、工業製品の普及と工期短縮の時代要請に伴いほとんど使われなくなってしまいました。


田んぼの土に藁を混ぜて発酵させて土に粘りを出すのですが、この作業は専門の職人ではなく、部落総出の人海戦術によりつくられていました。
しかし、今ではすっかり忘れ去られた技術となっています。
今回、横浜国大の大野准教授を中心として、学生や茨城県建築士会の協力で、真壁でこの壁土つくりのプロジェクトが行われるの知り、参加しました。

 
短く切った藁を土に混ぜ、足を使って攪拌していく単純作業の繰り返し


















 
途中昼食をはさんで8時間大変な肉体労働です。
土の性質にあわせて、土と藁の割合は試行錯誤で行っていきます。







作業終了後、ブルーシートをかけて養生します。
一か月後に藁を足してこねる、切り替えしの作業を行います。
このように壁土は手間暇かけて作られていきます。
半年後には壁に塗れる状態になるそうで、その後壁塗りの作業も体験できます。
多分30年前には普通にだれもが知っていた技術ですが一旦廃れると再現するのは難しくなってしまうのです。しかし、古い建物を維持していくにはこうした知識の継承が大事になります。
今後、静岡県にもこの知識を普及させていくため次回も参加します。  

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